米IT人材獲得戦 異状あり インド系半減 囲い込むGAFA

米国のIT(情報技術)人材の争奪戦に異変が起きている。世界から人材を引き寄せるのが米IT産業の強みだったが、トランプ政権がビザ(査証)発給を厳格にして相対的に賃金が低い案件の承認を一気に絞った。インド系のIT大手での承認が急減した一方、グーグルなど「GAFA」は高報酬をテコに承認を増やし、むしろ人材の囲い込みに拍車をかけている。

米国は「H1B」ビザでIT人材などを受け入れてきた。受給者はインド出身が7割に及ぶ。米国での起業を夢見る若者。世界の優秀な人材を選べる企業。米国発のイノベーションの「舞台装置」だ。

オバマ政権なら3週間でとれるといわれていたのに」。インターネットを使った教育事業をシリコンバレーで始めようとした日本人起業家、真田諒さん(35)は頭を抱えた。インド出身の技術者を採用しようとしたが、H1Bの申請がいっこうに受理されない。当局と4カ月にわたるやり取りの末、技術者の年収を当初の8万ドル(約860万円)から13万ドル弱に引き上げ、やっと承認にこぎつけた。

トランプ政権は2017年の大統領令でH1Bビザの審査を厳しくした。移民局によると、18年度(17年10月~18年9月)の承認件数は新規と更新の合計で約33万5000件と前年度から1割減った。

雇用主企業別では、システム構築や保守を請け負うITサービス企業の急減が目立つ。インドに本社を持つインフォシスとタタ・コンサルタンシー・サービシズ、同国を開発の主力拠点とするコグニザント・テクノロジー・ソリューションズのいわゆる「インド系」大手3社は承認上位の常連だったが、18年度の承認は3社合計で59%減った。

かねて「高度人材の名のもとに割安な賃金で労働者を呼び、米国人の職を奪う」との批判もあった。「高学歴の申請を優先する仕組み」(米法律事務所)に変え、米国人と競合しそうな「中技能・中所得」に狙いを定めて発給を絞り込んだ可能性が高い。

「成果」は出ているようだ。インフォシスは19年半ばまでの2年間に米国内で新たに1万人を雇用した。インドから大勢のIT人材を連れてくることが難しくなり、代わりに米国に拠点をつくって地元の大学で採用を増やした。

対照的に、グーグルなどのGAFAはH1BでのIT人材の獲得を加速させている。4社合計の承認件数は18年度に28%増え、インド系との差が急縮小している。

GAFAがビザの申請対象者に示した年収(中央値)は12万~15万ドルとインド系の8万ドル前後を上回り、「賃上げ」も続く。動画配信のネットフリックスも報酬を引き上げて人材獲得を急ぐ。「高技能・高収入」なら審査が通りやすい状況を活用し、したたかに動く姿が浮かぶ。

ビザ申請の年収をみると、日本勢はインド系に近い位置にとどまる。世界で人事・報酬制度を見直している日立製作所カリフォルニア州のデジタル子会社では高報酬の用意を整えつつあるが「日本の本社への配慮もあって制度全体としては踏み込めていない」と人事担当者は漏らす。

米国の異変は他の国々にはIT人材を得る好機にもなる。カナダや英国はすぐに人材の囲い込みに動いた。日本も柔軟な給与体系づくりや待遇の改善を急がないと、せっかくの機会を逃しかねない。

H1Bビザ 審査厳格化が波紋

▽…米政府が高度な専門技能を持った米国外の人材を対象に発給する就労ビザ(査証)。雇用主の企業が申請する。期限は3年で、1回の更新が可能。申請の過半はIT(情報技術)関連企業が占める。世界中から優秀な人材を集めてイノベーションにつなげる米経済の重要な機能になっている。2018年度(17年10月~18年9月)の対象者の出身地は、インドが約74%を占め、中国が11%で続く。

 
 

 

▽…「米国人雇用の優先」を掲げるトランプ米大統領は17年4月、ビザ審査の厳格化を求める大統領令に署名した。H1Bを優先審査する「特急審査」の停止のほか、見込み年収や学位、技能の専門性へのチェックを厳しくした。審査の却下や追加の書類提出を求める例も急増した。米移民局が処理手続きをした同ビザの申請のうち、どれくらいを承認したかを示す承認率はオバマ政権時代の9割台から8割前後に下がった。

▽…H1B以外でも投資家向けのビザや永住権の審査も厳しくなっている。米政権の保護主義的な姿勢には米国内でも反発が強いほか、人材の最大の供給元であるインドとの外交関係にも影響するなど波紋は世界に広がっている。

(北爪匡氏、ムンバイ=早川麗氏)

個人情報の利用目的

当ブログでは、メールでのお問い合わせ、メールマガジンへの登録などの際に、名前(ハンドルネーム)、メールアドレス等の個人情報をご登録いただく場合がございます。

これらの個人情報は質問に対する回答や必要な情報を電子メールなどでご連絡する場合に利用させていただくものであり、個人情報をご提供いただく際の目的以外では利用いたしません。


個人情報の第三者への開示

当サイトでは、個人情報は適切に管理し、以下に該当する場合を除いて第三者に開示することはありません。

・本人のご了解がある場合

・法令等への協力のため、開示が必要となる場合

個人情報の開示、訂正、追加、削除、利用停止

ご本人からの個人データの開示、訂正、追加、削除、利用停止のご希望の場合には、ご本人であることを確認させていただいた上、速やかに対応させていただきます。


アクセス解析ツールについて

当サイトでは、Googleによるアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」を利用しています。

このGoogleアナリティクスはトラフィックデータの収集のためにCookieを使用しています。このトラフィックデータは匿名で収集されており、個人を特定するものではありません。この機能はCookieを無効にすることで収集を拒否することが出来ますので、お使いのブラウザの設定をご確認ください。


広告の配信について

当サイトは第三者配信の広告サービス「Google Adsense グーグルアドセンス」を利用しています。

広告配信事業者は、ユーザーの興味に応じた広告を表示するためにCookie(クッキー)を使用することがあります。

Cookie(クッキー)を無効にする設定およびGoogleアドセンスに関する詳細は「広告 – ポリシーと規約 – Google」をご覧ください。

第三者がコンテンツおよび宣伝を提供し、訪問者から直接情報を収集し、訪問者のブラウザにCookie(クッキー)を設定したりこれを認識したりする場合があります。


当サイトへのコメントについて

当サイトでは、スパム・荒らしへの対応として、コメントの際に使用されたIPアドレスを記録しています。

これはブログの標準機能としてサポートされている機能で、スパム・荒らしへの対応以外にこのIPアドレスを使用することはありません。また、メールアドレスとURLの入力に関しては、任意となっております。全てのコメントは管理人が事前にその内容を確認し、承認した上での掲載となりますことをあらかじめご了承下さい。加えて、次の各号に掲げる内容を含むコメントは管理人・瑚心すくいの裁量によって承認せず、削除する事があります。

・特定の自然人または法人を誹謗し、中傷するもの。

・極度にわいせつな内容を含むもの。

・禁制品の取引に関するものや、他者を害する行為の依頼など、法律によって禁止されている物品、行為の依頼や斡旋などに関するもの。

・その他、公序良俗に反し、または管理人・瑚心すくいによって承認すべきでないと認められるもの。


免責事項

当サイトで掲載している画像の著作権・肖像権等は各権利所有者に帰属致します。権利を侵害する目的ではございません。記事の内容や掲載画像等に問題がございましたら、各権利所有者様本人が直接メールでご連絡下さい。確認後、対応させて頂きます。

当サイトからリンクやバナーなどによって他のサイトに移動された場合、移動先サイトで提供される情報、サービス等について一切の責任を負いません。

当サイトのコンテンツ・情報につきまして、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、誤情報が入り込んだり、情報が古くなっていることもございます。

当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。